1998年12月09日

1998 年 12 月 9 日

「聞いて! 聞いてェ! うちのお姉ちゃんが雑誌に載ったの!」

高校時代の後輩の女の子がそう訴えてきた。高校時代の先生率いる吹奏楽団で練習が終わった時の出来事だった。彼女は昔から声が大きく、特に興奮してるときは隣で吹いてるトランペットの音をかき消すほどのすさまじい音量だ。

「そうか、それはすごいね。」

普通の人が雑誌に載ったというのはたしかにすごいことだ。悪いことをして新聞に載るのは簡単だが、それ以外で紙面を飾るのはやっぱり難しい。

「でも、どうせたいしたことねぇんだろう? ちっちゃい記事なんだろう?」
「そんなことないよ! 2ページ独占だよ!」

おお! それはすごい。一介の小市民には成し得ぬ偉業だ。

「みて! みてェ! この雑誌!」

『バルーン』? 見るからに女性向け雑誌だということはすぐにわかったが、聞いたことない雑誌名だ。きっとそれは創刊のファッション雑誌とかで、そのお姉ちゃんは街頭インタビューか何かでその偉業を達成したのだろう。

「どこに載ってるの?」
「ここ! ここ!!」
「どれどれ?」

『陣痛もこれで楽にのりきれる!』(仮題:題名失念)

なんとそのお姉ちゃんがモデルになって陣痛への対処方法が記事になっていたのだ。当然そのお姉ちゃんが妊婦で、そのお産シーンが掲載されていたのだ。顔中汗をかいて股広げてウンウン唸ってる写真が2ページにわたって掲載されている。しかも生みたてで湯気が立ちそうなほどホヤホヤの赤ん坊も載っている。

「う! す、すごいね。」

もう、この時点での「すごい」の意味は最初に発した「すごい」とは意味が違うものになってしまった。でも、たしかにすごいんだもん。その写真。いくら『楽にのりきる』と言っても陣痛は陣痛だ。まさに言葉を失った。

「ね! ね! すごいでしょ!」

そう言って彼女はみんなに見せまくっていた。
posted by さわしげ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ホルン
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